料理をもっと楽しんで欲しいから
衣食住と言われるように、食は暮らしのなかで大切な要素です。料理をする時間を楽しくすると、キッチンから多くの笑顔が生まれる。そんな日常の幸せを支えたい。リクシルがキッチンでできることはなにか。そこには、人に寄り添うようにやさしく機能する技術がいかされていました。
リクシルには、キッチンでの一般ユーザーの行動をつぶさに「観察」することで、新たな要望を探る専門の研究チームがあります。調査の一環として一般のご家庭を訪問し、どのようにキッチンが使われているかを詳しく観察。またヒアリングによって、その行動の意味や心理を深く理解しています。
後日、その様子を記録した動画を複数のスタッフで繰り返しチェック。生活工学の調査手法のひとつである「行動観察の5側面」に則り、「身体」「頭脳」「時間」「環境」「運用」の5つの側面から観察し、お客さまのさまざまな要求事項を浮き彫りにしています。
このような行動観察や検証を通し、キッチンを使う人も気がついていない無意識の動作、さらに無駄な動きまでを洗い出し、それをキッチンの機能で解消することを目指しています。いわば人がキッチンに合わせるのではなく、キッチンが人の動きに合わせる、まさに「人に寄り添うようにやさしく機能する技術」、それがリクシルの「ヒューマン・フィット・テクノロジー」です。
日本は欧米諸国よりも、キッチンが小さい傾向があります。ところが和食をはじめとして、洋食、中華、エスニックなど、日本ほど他国の料理を日常的に楽しむ国はありません。当然、大小さまざまな調理道具が必要になりますが、収納するスペースは限られ、しかも取り出しづらい、使いづらいのが一般的です。
そこで研究チームは、一般ユーザーの調理行動を3,000時間以上にわたり丁寧に観察して分析。調理道具を取り出す、調理する、洗う、片づける、それらが複雑に絡み合うキッチンでの行動のなかから、「引出しを全開せずに少し開けただけで道具を取り出す」という行動に着目しました。ここにヒントを見出し、開発チームは最小限の動作で料理に必要な道具を、一度に、スピーディに取り出せる収納の開発に着手。さらに作業時の筋負担を計測する「筋電計測」、視線の動きを計測する「アイトラッキング」などの技術も応用しながら、新しい収納機能「らくパッと収納」を生み出しました。
この収納にはさらに、「適材適所」という考えが活かされ、シンクを中心とした水まわり、下ごしらえをする調理スペース、加熱調理をするコンロまわりと、それぞれで使う場所の近くによく使う調理道具を収納できるようにしたことで、使いやすさは格段に向上しました。
らくパッと収納
一般の引出し収納
扉の傾きあり
扉の傾きなし
キッチンワークが流れるようにスムーズになると、もっと料理が楽しくなります。そんなヒューマン・フィット・テクノロジーが詰まった「らくパッと収納」。テコの原理を応用して、軽い力でラクに、斜めに開く引出しからは、料理の時に必要な調理道具が手間なく、パッと一度に取り出せます。最小限の動きで済むから、キッチンワークもスムーズ。内部の2段のスペースと手前のポケット型収納には、使用頻度に合わせて、調理道具をたっぷりと、しかも取り出しやすく整頓できます。使う度、料理をする度に楽しくなるキッチン収納として、これまでも多くのお客さまからご好評をいただいている人気のアイテムです。
この「らくパッと収納」はリクシルの主力システムキッチン「リシェルSI」に搭載され、進化を続けています。人に寄り添い、キッチンが使う人に合わせていく、「ヒューマン・フィット・テクノロジー」を通したリクシルのキッチン開発は、これからも進化を続けていきます。暮らしの主役は人だからこそ、キッチンから日々の幸せな暮らしを支え、家族の笑顔を広げていきたい、その想いはこれまでも、これからも変わることはありません。